寝る前に読書。内田樹知に働けば蔵が建つ』を少しずつ。

168頁、「やはり法制度を考えるときに、「予防的」な発想を取るか「対症的」な発想を取るかで、ものの見方はかなり変わるだろうと思う。「予防的」というのは、社会的トラブルを「事前に回避する」ためのふるまい方の習得にリソースを優先的に集中させる立場である。「対症的」というのは、トラブルが「起きた後」に理非をあきらかにする信賞必罰のシステムづくりを優先的に配慮する立場である。誰が考えてもわかるけど、「予防的」なシステムの整備と運用に要するコストは、「対症的」なシステムの整備と運用にかかるコストよりもはるかにわずかで済む」。

248−249頁、在留日本人のパリ症候群(パリ在住の日本人の中に鬱病を発するものが多く、これを現地在住のドクター太田という人が命名した)について。「(その原因について、ドクター太田が言うには)日本のサービスの質は官民ともに世界最高だが、フランスは残念ながらその対極に近い。日本基準のままだたと不快な体験を重ねることになる。きちんとした日本人は、この国のいい加減さではなく、それについていけない自分を責めてしまう」。