殺された側の論理 -犯罪被害者遺族が望む「罰」と「権利」

殺された側の論理 -犯罪被害者遺族が望む「罰」と「権利」

36頁、「(本村さんの言葉)犯罪被害者支援について議論していただくことは大変うれしいことなのですが、その目的が『犯罪被害に困窮している被害者を救うこと』ではなく、『死刑を廃止するため』となっているように思えてしまい、今回のようなパネルディスカッションのテーマになること自体が私は合点がいかない」。

46頁、「加害者の「更生」は国家が担う仕事である。したがって被害者遺族も含めた国民が納得できるような「更生」行政を見せてこなかった国に多分の責任がある」。

78頁、「まず裁判所の事務官が言ってくるのは、「弁護士さんを通じてお願いします」。それに、「裁判のどの資料がほしいんですか」と聞いてくる。こちらはよくわからないから、「全部です」と答えるしかない。すると「全部とはどれですか」と言われる。被害者の権利というならば、そういう記録や情報へのアクセスの方法もきちんと教えてほしい。専門の担当者が懇切丁寧に教えるべきです」。

242頁、「「何か困ったことがあったら相談してほしい、と支援官が言っても、被害者は何に困っているか自分では考えることができない精神状態にあります。ですから、こういうことで困ってはいませんか、こういうことは大丈夫ですか、と逆に聞いてほしい。葬儀の手配はどうしますか、殺害現場の処理や片づけの手伝いは必要ありませんか、職場や親戚への連絡をしましょうか、食事はどうしましょうか、といったことをきめ細かく聞いてほしいのです」。

245頁、「法務省の直轄スタッフである支援官と、民間の支援ボランティアは、一体となって被害者支援にあたるべきだ、というのが本村さんの考え方だ。つまりは支援官に求められるような知識や技量は民間の支援スタッフにも求められるということである。被害者支援をしたいという善意だけはあるのだけれど、たとえば、警察と検察がどういう役割の違いを持っているかも知らないような知識では、被害者支援はできない」。

267頁、「(文京区の松村さんの言葉)しかも、調書を証拠として採用するかどうかは加害者が決めます。うちの場合でも相手は調書を全部読んでました。それを読んで、彼女は採用しては困ると、却下した。だけど、内容は全部知ってる。だから、それをベースに、都合の悪い発言をした幼稚園のお母さんに刑務所の中から手紙出してるんですから。なじってるわけですよ」。