情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント (朝日新書)

情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント (朝日新書)

107頁、「ところで入社研修の際に、ある先輩記者は「複数の取材先からウラを取れ」と言った後、続けて私たち新人に、次のような教訓を垂れました。「複数の証言が一致したからといって安心するな。複数が異口同音に同じ情報を語ったら、今度は口裏を合わせている可能性を疑え。同じ出来事を目撃しても、見る角度が異なれば、証言は違うはずだ」。

163頁、「当時、マガジンハウスを取材したことがあります。(中略)驚いたのは、若い女性向けの「アン・アン」と、やや上の世代向けの「クロワッサン」が、同じ階の隣り合った場所に編集部を置いていることでした。そのときに取材した「クロワッサン」の女性編集長に「意外でした」と告げると、彼女は「ライバル誌」との関係について、こう話してくれたものです。「隣で『アン・アン」が、次週の特集に、『どうしたら痩せられるか』というテーマを組むとします。そうしたら私たちは、『太っていて、どうして悪いの?』という特集を組むんですよね」。