秀吉はいつ知ったか―山田風太郎エッセイ集成

秀吉はいつ知ったか―山田風太郎エッセイ集成

65頁、「私にいわせると、恋愛さえも睾丸なし卵巣の描き出す虚構である。人間の世界でほんものは、ただ食欲だけだ。しかし、これさえ、このごろは虚構の食物がふえてあてにならなくなった。私は、一つぶ十円の空豆の最後の一つぶをぱくりと食って、索漠たる顔で飲んだ。酔っぱらうことだけが、虚構ではないらしい」。

154頁(「一休は足利義満の孫だ」)、「ところがふしぎなことに、一休の父は後小松だという説はいま公認されているのに、祖父が足利義満だという説を寡聞にして私は知らない。(中略)が、一休の大破戒僧とも見える天衣無縫の生涯は、右の出生のせいもあるのではないかと私は考える」。

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