107−108頁、「ただし、見落としは論外であるにしても、広汎性発達障害に少年事件の直接的原因を求める考え方は、すでに述べたように誤りだ。障害に事件の原因を還元してしまうと、見えたはずのものが見えなくなってしまう。つまり、居場所の剥奪や、学校価値への拘泥といった重要な背景が、覆い隠されてしまうのだ。そうなると、裁判は、障害を持った子どもと、その子どもを育てた親を、非難するだけの場になってしまう。あるいは、障害に気付くべきだったという、早期発見論が幅をきかせるだけの結果になる。どちらも、障害を持つ人たちと、そうでない人たちとの間に、明確な分断線を引こうとする考え方だ」。