45−46頁、「この背景にあるのは、「人は、自分が扱われたように人を扱う」という考え方です。このような手厚い出迎えをすることで、先輩キャストは、「あなたたちが、オンステージにデビューしたときも、こんなふうにゲストをお迎えしてもらいたい」という暗黙のメッセージを、新人キャストの心に訴えかけているのです」。

63頁、「ミッションがあれば、それで十分かというと、そうではありません。ミッションを後輩に伝える上司・先輩が、ミッションをしっかり理解しておく必要があります。当たり前の話ですが、上司・先輩がミッションを理解していないと、後輩たちに正しく伝えることができません。そうなると、ミッションはあってないようなものです」。

69頁、「先輩や上司がミッションを理解し、後輩に伝えると、後輩は、ミッションを実現するために行動することになります。その際、どのように行動すべきかを示す「行動指針」があれば、ミッション実現のためにより効果的な行動をとることができます。「行動指針」というとむずかしく考えがちですが、平たくいえば「仕事を進めるうえで忘れてはならないこと」です。たとえば、「迅速性」とか「確実性」とか、いろいろなフレーズが考えられます」。

101頁、「上司・先輩も、成果だけに目を奪われず、後輩の精一杯の頑張りにも目を向けたいものです。そして、「そこまでやれるなんて、すごいよ」と最善を尽くした後輩を讃えてあげましょう。そのような上司・先輩の姿は、後輩の上司・先輩に対する信頼感を醸成することにつながります」。

113頁、「そして、私が重視したのは、一方的に訴えても絶対に受け入れてもらえないので、自分たちで考えてもらうということでした。私は、キャストを前に口癖のように繰り返しました。「ほんとうに大事なものは、いったい何か、自分で考えてみてほしい」」。

119頁、「では、良好な人間関係をつくり、活発なコミュニケーションを実現するためには何が必要なのでしょうか。ひと言でいえば、相手の存在を認めるということです。そのために、前述したように、いつも見ている、マメに声をかける、といったことが必要になります。このような相手の存在を認める行為を「ストローク」といいますが、ストロークこそ、良好な人間関係をつくり、人を育てる基本中の基本です」。

145頁、「関心度チェックシートを活用しよう。次のようなチェックシートをつくり、自分の関心度に応じて、0〜10点の範囲で点数をつけてもらうと、後輩の状態をより的確につかむことができる!各項目の点数を図に表すこともできる。職場・生活、仕事、対人関係、学習、お金、家族・プライベート、健康問題、趣味」。

159頁、「そして、気づいたのは、それらのユニットは、バックステージでも、キャスト間の人間関係がすごく良好に保たれているということでした。いつも①笑顔で、②互いにアイコンタクトをとって、③挨拶を交わしあっているのです。この3つがきちんとできているところは、オンステージでも仕事のレベルが高かったのです」。