80−81頁、「しかし、まず大切なことは「質問する」ことではなく、コーチがどこに焦点をあてて、話を聴いていくかということです。例えば、「わからない」に焦点をあてて聴いていると、「わからないままやるのか?それでうまくいくのか?」「何が心配要素なんだ」などと質問をしてしまいます。一方で、「やってみよう」に焦点をあてて聴いていると、「やってみるとよく決断したね」「まずどこからやるの?」「それはいつから始めるの?」という言葉や質問が自然と出てくるかと思います、これらは、どちらが正解というものではありません。が、どちらが相手の行動を前に向かって後押しするでしょうか?より相手の意欲や自発的な行動を促進していく方向に焦点をあてて対話をする、これが効果的な聴き方ではないかと思うのです」。

142−143頁、「「どうしたら、計画通りに進められると思う?」「どうすればできるかな?」「何からだったらできそう?」これらを「肯定質問」といいます。可能なことを肯定的に質問していきます。コーチングでよく使う質問です。「否定質問」+「過去質問」よりも、「肯定質問」+「未来質問」のほうが、相手のやる気を引き出しやすいと思いませんか?「なぜ、計画通りにできなかったんだ?」と言われるよりも、「次回、計画通りに進めるにはどうすればいいと思う?」と質問されたほうが、建設的に考えてみようとします。(中略)なかなか素直にこちらの意見を聴き入れない相手に対しては、「意見を聴かせてほしい」という立ち一で相手の話を聴いていくのも効果的です。説得、説教しようという姿勢は脇に置いて、「何か君なりの考えがありそうだからぜひ参考にしたい」という姿勢で質問をしていきます。「そのやり方でやっていくとこういう問題が起きそうな気がするんだけど、君はどう対処しているの?ぜひ教えてくれないか」とこちらの意見も伝えながら聴いていくことで、相手が「このやり方だとやっぱりまずいな」と自分で気づくこともあります。」

147頁、「これまで、2500時間以上コーチングをしてきて、私が心から実感していることは、①「人には誰しもともとものすごい能力が備わっている」②「やったらやれるかも」③「失敗していもだいじょうぶ。また方法を変えてチャレンジスレすればいいだけだから」という自己肯定感を持てると、人はどんどんその能力を発揮していくということです。結果を出している人と出せない人の差は、実は知識や経験やスキルの差ではないと思わされます。いかに、「やれるかも」という肯定感を持てるかどうか、ここが一番結果を左右しているように見えます。「きっとうまくいかない」「私にできるわけがない」こんな気持ちで取り組んでいては、どんなに力があっても発揮されないで終わってしまうのです。これは本当にもったいないことです。」

155頁、「結果ばかりでなく過程も重視する、うまくいっていることを指摘する、失敗を受け容れる、感謝する、肯定的な言葉を遣う」。