【送料無料】マグロ船仕事術

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24頁、「しかし、部下が人間である以上、いくら正しいことを伝えていたとしても、相手のやる気をなくさせると、働かなくなってしまうのです。(中略)その意味では、給料では漁師のやる気を保てなくなったマグロ船と同様、企業のマネージャーやリーダーも部下に自信をつけさせたり、「あなたのおかげで助かっています」というような存在を認めてあげるような言葉を使い、やる気を高めないといけない時代になったのです。言葉にはカタチはないですが、誕生日に渡すプレゼントと同じく、相手を暖かい気持ちにさせるものと考えた場合、伝える言葉は正しさよりも、安心感を与えられるか、などを念頭に選んだほうがいいと思います。自らを振り返ると、人を喜ばせたり、勇気付けたりする言葉よりも、きっと、はるかに多くの人を傷つける言葉を使っていたことでしょう。特に部下やメンバーから何かを相談された時は、「よかれ」と思い、「えー、そんなやり方をするから悪いんだよ。もっとこうやらないとダメに決まってるよ」といったようなアドバイスをしていました。こうしたアドバイスは、もしかしたら当たっていたのかもしれませんが、きっと、相談してくれた人の自信を奪い、やる気を失わせたことでしょう。」

34頁、「これはつまり、「自分を認めてほしい」という世の中の需要は大きく、供給が追い付いていない状態ということです。ですから、人の美点を見つけて褒めてあげることは、人よりも優秀な技能を持つことと同じか、もしくはそれ以上の能力になるのです」。

38頁、「「オレたちが若ぇ子たちから好かれるために、大事なことって知りよるか?」「い、いいえ」「それはの、相手に関心を持つことど。斎藤は、自分のことだけしかしゃべりよらん」。

52頁、「じゃあ、指示とか命令はしないんですか?」「いや、言うんは言うんよ。でもの、言っても聞かん思うちょる。言うてみりゃ、マグロに話しかけてると思うちょる。」(中略)「人間同士は、見た目が同じじゃから、つい無意識に言ったことが伝わると思い込んじょる。でもの実際は、自分と相手っちゅーんは、人間とマグロぐらい違うもんじゃ。」「な、何がですか?」「うーん、「考え方」じゃろうな。人間、これまで生きてきた常識ってもんがあるじゃねーか。たとえばぞ、マグロ船ばっかし乗っちょるおいどーと、大学出よる斎藤とは、見た目は人間同士でも、考え方とか常識やらはまるで違げー。その違いはのー、いっくら説明しよってもわかり合えんのを、おいどーはよく見ちょる」。

63頁、「アドバイスをたくさんされると、『余計なお世話』みたいに感じて、ちょっと腹が立つことってありませんか?」「斎藤、それはおまえが間違うちょる。人のアドバイスに期待をしすぎるから、的が外れたアドバイスに腹が立つんど。えーか、『他人からのアドバイスは、たいてい的が外れちょる』。これが普通ど。他人はみんな、その人の立場でものを考える。わざわざこちらの立場に立ってアドバイスをしてくれることなんてことはないんど。じゃから、ほとんどのアドバイスはあてになりよらん。」(中略)「アドバイスは、こっちの立場に立って考えてくれないところに意味があるんど。じゃからたいていのアドバイスは的外れになるが、そのおかげで、たまに自分が気づいていなかった大事なことを教えてくれるときがある。自分の発想なんて、たかが知れとる。斎藤は一番卵を産む魚を知っちょるか?」

100頁、「「サッカーなんかは、1点がなかなか入らないですよね。『点、入れ放題です』と言われたら、逆に楽しくないでしょうね。」「そげーじゃろ?じゃから、うまくいかねえってんは、本当は楽しいんど」

118頁、「「麻雀は手元にある牌で、勝てる方法を考えんといけんけぇ。どんな牌を引こうが、そこから立て直していくのが麻雀じゃ。斎藤は自分で引いてきた牌に文句言いよる。それでは麻雀はツマランし、絶対勝てんのぞ。」このとき、仕事というものは、自分である程度コントロールできる部分と、コントロール出来ない部分が複雑に絡み合っていることをあらためて教えてもらいました。麻雀では最初に配られる牌は何が来るかはわかりません。これは仕事に置き換えると、市場の景気や部下や上司などは、自分でコントロールできない部分でしょう。また、麻雀には自分である程度コントロールできる部分があります。それは、「手元の牌で、どんな勝ち方をしようか?」と、作戦を練られることです。」

138頁、「ここでお伝えしている、一番大事なことは、「できていないところと、できたところ、両方をちゃんと見ててあげることが大事です」という部分です。たいていの上司は、部下のできていないところの指摘はバンバンしますが、できるようになったところには気づいていません。その理由は簡単で、できていないところは、ミスという形で明確に現れるので、それこそ上司ではなく、通りすがりの人でもできていないじゃないか!」と誰でも指摘ができるのです。しかし、それをやってしまうと部下は、「この人は自分のことを何も見ていない」と感じ、信頼の糸が途切れてしまいます」。

145頁、「ペットの犬に「牛乳を買ってきて」と言いつけた時、犬が牛乳を買ってこなくても腹が立たないのは、犬が牛乳を買ってきてくれると期待していないからです。怒りの気持ちがわいたというのは、相手に期待をしていたという何よりの証です。ですから、部下に対して怒りの感情を持ったときには、怒り自体をぶつけるのではなく、その前にあった、期待の部分を伝えてあげるほうがいいのです。部下は「ああ、上司はこんなふうに私のことを期待してくれていたんだ・・・」と伝わるからです。」

149頁、「理由と実例のふたつがない状態で怒られると、当時の私としては、「指示どおりにやったほうが、効率悪いと思うんだけどなあ。なんでそう指示するのだろう?でも、たずねると、『いいからやれ!』って、よけいに怒られるし・・・」と納得がいかないままで仕事をするので、仕事の完成度もあまり高くなかったことを覚えています」。

159頁、「もちろん、うまくいったときも褒めることは褒めます。しかし、それ以上に褒めなければいけないポイントは、努力したことなのです。努力して失敗したときは、もちろん手放しで「よくやった!」と褒めるわけではありません。それでは部下によっては調子に乗ったり、同じ失敗を繰り返してしまう危険性があります。それを防ぐ意味でも、挑戦したことについては、まず「よくトライしたね」と褒めてあげましょう。で、そのあとに、「次はこうしたら、うまくいくんじゃない?」とアドバイスしたらいいのです。または、「次はどうしたらうまくいくと思う?」などと考えさせると、部下に仕事のやりがいを感じてもらえ、それによって自発的に動いていくのです」。

163−164頁、「それは部下に注意をするときは、褒める言葉+注意する言葉+褒める言葉という具合に、「注意する言葉」を「褒める言葉」でサンドイッチしていたからです。部下の心理として、たとえ指摘された内容が合っていたとしても、「もっとこうやってくれない?」と注意だけされると、「チェッ、うちの上司はあら探しばっかりだもんな・・・」と、反発したい気持ちが芽生えてしまいます。船長はきっと、その反発を抑え注意を聞きいれてしまうためにも、まずは褒める言葉を伝え、部下に聴く姿勢をつくらせるのです。そのうえで、注意してもらいたいことを伝え、さらに反発心が芽生えないように、「でも、おまえのことは大事に思っている」というメッセージを込め、褒める言葉を最後に入れているのでしょう。そうすると当時の私のように、「この人が言ってくれる注意なら喜んで聞こう」と感じるようになるのです。部下との会話を終わらせる際、大事なことは、相手の感情に嫌なものを残さないようにすることです。」

210頁、「しかしきっと、誰にもできない仕事ができるようになるためには、誰にもできないことをやる必要はなく、むしろ誰にでもできることを確実にひとつひとつこなすことが一番の近道になるのではないかと痛感させられた出来事でした」。

246頁、「「仕事が丁寧な奴は、たいてい仕事が遅い。ひとつのことを見て、長所として受け取るか、短所として受け取るかの違いだけねーんか?だったら、長所として受け取ったほうが、お互いに気持ちよかろう。他人の仕事を見て、できていないところを指摘するのは誰でもできんど」(中略)「(人の短所に)イライラせんこともなぇけんど、技術が未熟なのを怒っても、うまくなるわけではなかろーが。オレより処理がうまかったら、そいつが船長になっちょる。うまい処理の仕方は、あとで本人に直接、『こうやると、もっと早く出来る』と、教えてやってるんど」。