【送料無料】援助職援助論 [ 吉岡隆 ]

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42頁、「あなたは患者さんとの面接場面で、自分の意見を聞かれたらすぐ答えてしまう傾向があるのではないですか。それでは相手の想像力を膨らませてあげることはできません。知識は与えられても、術を学ばせることはできません。学は知識として学べるが、術は身につけるほかはありません。本を読んで勉強できるのは学で、術は年月をかけて磨いていくものです。術の進歩は信教の上で、なにがしかの成長を伴って自覚されるものです」。

103頁、「ぼくはアルコール依存症や薬物依存症から回復してきた人たちに、「あなたの回復に役立ったのは、どんな援助者だったか」と尋ねたことがあった。そのときに、異口同音に聞いた答えは「鬼軍曹」だった。入院中にやりたくないことを「やれ!」と強要した援助者だったというのだ。「そういうことを言わない優しい援助者のことは記憶にない」とも語ってくれた。こうした話に力をもらって、ぼくは病棟で「鬼軍曹」役に徹することにした。ぼくはアルコール・薬物病棟に入院した患者さんには、いつも3つだけ質問をした。Q1 あなたの問題は何ですか?Q2 その問題から回復したいですか?Q3 回復するためにはどんな行動でもしますか?」。

116頁、「「問題」をもっていない人などいないし、「問題」のない家庭もないだろう。「問題」があることが問題なのではなく、「問題」に向き合わないことが問題なのだ。自分にできることを人に頼むのは依存だが、自分にできないことを人に頼むのは健康だったのだ。ぼくは長い間、自分にできないことでも自分で何とかしなければいけないと、ずっと思っていたことに気がついた」。

236頁、「AAはぼくの生き方を大きく変えた。人を変えられると思い、変えようとしていた無神経で傲慢な気持から、自分が変わるということを学ばされた。「よくしようとする」ことは、相手を支配しコントロールすることであるとぼくは思うようになった。人は、よくなろう、よくしようとする装置に取り囲まれて苦しみ悩んでいるのではないか。」