【送料無料】拘置所のタンポポ [ 近藤恒夫 ]

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価格:1,470円(税込、送料別)

101頁、「中毒息子は、エリート父娘ペアのせいでいっそう劣等感を募らせるし、それを不憫に思う母親はいっそう息子をかばい、絆を強めるというわけだ。薬物依存症の大多数は、日常生活すべての面倒を母親にみてもらっている。「してもらう」ことが当たり前になっており、決して自分で責任をとろうとしない。それが本人だけの問題ではないということは言うまでもない。」

139頁、「迷惑をかけた周囲や社会のために立ち直るべきだ、という考えがある。そう考える本人も多い。しかし、こうした考え方は肝心の自分自身を置き忘れていて、薬物依存という自分の病気と真正面から向き合うことを避けるための言い訳にすぎない場合が多い。私の経験上、「誰かのために」と言ってダルクに来る人はなかなか回復しない。結局、本人のどこかに恰好をつけている部分があり、罪悪感を原動力にして薬物を断とうという考えなのだ。釈放後ののりピーもそうだった。」

150頁、「「強い意志の力でやめてみせる」と豪語してやめられたヤツは皆無だ。薬物依存からの回復は闘いではない。むしろ闘ってはいない。闘っても勝てるわけがないからだ。そもそも薬物の誘惑に負け続けているのだから、素直に自分の無力さを認めることが重要だ。そこがスタートで、そうなって初めて再起へ向けて歩み始めることができるのだ。回復した人の多くは、無力さを認めた人である。」

151頁、「依存症という病の根源は、本人の内部にはないパワーを自分の外側の何か(薬物依存症者なら薬物)に求めてしまうところにある。依存症からの回復とは、そういった”力あるものに頼る”を取り払うことに他ならない。しかし、病院にかかった依存症者はどうしても医師に頼り、医師は医師で自分の患者を囲い込んでしまいがちになる。」