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- 作者: 芹沢一也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/01/24
- メディア: 新書
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146頁、「このような観点からみれば、動機なき犯罪というものの性格が明らかになるだろう。動機は本人の口から語られようが、あるいはそれがいかに論理的であろうが、それだけでは動機として通用しない。動機が動機であるためには、それが同じ社会に住む人びとを納得させるものでなければならない。つまり、動機は社会的に共有された「ストーリー」でないかぎり、決して動機とはなりえない。それは人びとが常識としてもっている犯罪観と合致する必要があるのだ」。
231頁、「(藤井誠二の解説)穿ちすぎとの批判を覚悟で言えば、かれら人権派の「善意」は「赦す被害者」物語を社会に浸透させることによって、加害者の厳罰化は被害者にとって救済にならないという空気づくりにあるのではないか。(中略)「赦す被害者」物語の流布は危険だ。犯罪被害者の救済の法整備がようやく緒についたばかりであるという日本の後進的な状況は忘れ去られ、死ぬまで憎み続けなければならない被害者が多いという現実や、あるいは加害者が社会復帰することによってさらに恐怖が増すという遺族が多数であるとい現実からも人々の関心は遠のく」。