犯罪被害者支援―アメリカ最前線の支援システム

犯罪被害者支援―アメリカ最前線の支援システム

62頁、「「私は、犯罪被害者センターの○○です。ちょっとお話してかまいませんか」という挨拶から始まる。ここでは、事件に関することをあれこれと聞かない」。

108頁、「このロールプレイは、研修生の対応、研修生の一言によって、さまざまに展開が変わる。被害者役のスタッフが自殺を図ると言ったとき、とっさに次のように対応して高い評価を受けた研修生がいた。
 被害者「私、もう死にたいわ」
  研修生「ねえ、あなた、誰か相談できる友達はいないの」
 被害者「誰もいないわ。私の友だりは猫が一匹だけ」
  研修生「そう。猫の名前はなんていうの?」
 被害者「トフィ」
  研修生「いい名前ね。今はあなたのそばにいるんだ」
 被害者「ええ。トフィだけが私のことをよくわかってくれるのよ」
  研修生「今日は、トフィちゃんと眠れそう?」
 被害者「ええ。また電話していい?」
  研修生「もちろんよ。かならずまた電話をちょうだい。番号は、○○○−○○○○よ」
 被害者「わかったわ。今日はありがとう」

173頁、「だから、「さあ、みんな、ノートを用意してください。みんな、ノートを広げましたか?では、今から言う電話番号をメモしてください」と言って全員に書かせるのである。そこで初めて生徒達は、自分のノートに、センターの番号を安心してメモすることができ、なにかあったときの情報源として家に持ちかえることができるのである」。

307頁、「しかし、被害者支援は専門家だけでおこなうものではない。犯罪被害者支援の問題は、精神医学や心理学、法律の分野でのみ論じればいいという問題ではなく、またそれら専門家のみで解決できる問題でもない。直堰的なサービス、いわばソーシャルワーク的なサービスを基本としている犯罪被害者センターの活動は、今まで紹介してきたように多岐にわたり、かならずしも医療や司法における専門家が必要なケースばかりではない」。