偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43)

偽装請負―格差社会の労働現場 (朝日新書 43)

113頁、「いや、そうではなく松下社員が請負会社の労働者を指揮すれば偽装請負の「指揮命令」にあたるので、社員を請負会社に出向させることで違法性を形式的に回避したのではないのか―そう突っ込むと、担当幹部はそのたびに「脱法行為のつもりはない」と繰り返した。押し問答を続けると、プラズマディスプレイ製造では最新鋭の尼崎工場(兵庫県尼崎市)でも同様の大量出向を進行させているという新事実まで明かした」。

177頁、「クリスタルの創業者でありオーナーでもあった林が2006年10月、保有するクリスタル株をすべて匿名の投資ファンドに売り渡して、請負の世界からひっそりと退場したのだ。投資ファンドを通じてクリスタルを買ったのは、売り上げははるかに小さいが、介護事業のコムスンの名で知られる、同じ人材サービス業のグッドウィルグループだった。小が大をのみこむ、この買収劇でグッドウィルは一躍、人材サービス業界の国内トップに躍り出ることになった」。