図書館で借りた。買ってもいいくらい面白かった。
[rakuten:book:13301564:detail]

57頁、「ところが、ここ数年、ホワイトカラーは、自らの存在を安定化させるために、自分達を会社において必要な人材であると決めつけて、それをアピールするために、新しい仕事を次々と作りだしてきた。絵に描いた餅に過ぎない中期計画の策定、度重なる人事制度の改定(以下略)」。

68頁、「ところが、ホワイトカラーは、このような「仕事の価値そのものを高める」という感覚を喪失してしまっている。そして、無理やりにでも自分の仕事の価値を見出そうとして一円玉磨きに精を出している。だから、ホワイトカラー以外の人間には、「仕事をしていない」「仕事の質が低下している」ととらえられてしまうのだ。「一円玉よりも一〇〇〇円札の方が価値が高い」ということをコイン・ポリっシャーに気づかせるためには、一円玉を磨くことができない状況とすることが、最も手っ取り早い。コイン磨きができなければ、「一円は一円」という当たり前のことが分り、より高い価値があるものを探すことを考えるようになる。ホワイトカラーも同じである。仕事の質を高めるためには、その仕事を絞り込んでみることが一番で、そのためには、人数を大幅に削減することが最も効果的な方法である。人数が減れば、本当に必要な仕事しかできなくなり、そこで要求されていることがわかってくるはずだ」。

117頁、「数年前の当社は、ムダがムダを作り出す状態にありました。ムダな計画のために、ムダな報告が要求され、意味のないことに多くの時間とコストが費やされていました。しかし、当時の社内には、ムダをなくす動きがないばかりか、むしろムダが膨らんでいく傾向すらありました。それだけ厳しい状況にあれば、ムダをなくしていこうという動きが自然に起こってくると思うでしょう。ところが、そんなことは一切ありませんでした」。

126頁、「こうなると、リストラの対象となるのは、おおむね三十歳以上ということになる。とくに本社の管理部門には、「将来の幹部候補生」として、大卒・文系の従業員を配置していることが多い。これらの者は、いなくなったところで日常の実務が滞るわけではないし、また賃金が高いので、リストラの対象には「うってつけ」なのである」。

149頁、「今後、ホワイトカラーの仕事が減っていく一方、介護や育児等の事業では労働者不足が見込まれている。そうなると、中高年の男性労働者の就職先は減り、女性労働者の就職機会は増えていくことになる。したがって、例えば、子どもが小さいときは夫が主たる生計維持者で妻が育児中心、子どもが大きくなったら夫と妻で共働き、子どもが独立したら夫が家事中心で妻が主たる生計維持者という具合に、家庭における夫婦の役割分担をライフステージに応じて柔軟に変えていく考え方が広まっていくことになるだろう」。