図書館で借りた。

55頁、「相手が部下であれ、上司であれ、同僚であれ、どうすれば隣に座っている人がうまくいくのかを考えてみる。そして、まずはちょっとだけでも新しい行動を起こしてみる」。

90頁、「テネシー州女子刑務所で、10数人の女囚に対して、怒りをどのように鎮めるかという課題のもとファシリテート(介入支援)していたときです。まったく口を開いてくれない人が何人もいます。鬼のような形相で私をにらみ、口を真一文字に閉じて、じっと座っている。口を開いてもらわないと時間だけが過ぎていく。そんな場合は、意を決してお願いしました。「とにかく、あなた方と話がしたい。どんなことでもいいから話してくれないか」。数多くの「操作」された経験をもつ彼女たちに、小手先のテクニックは通用しません。だから、正面から想いを伝える。と、その場では口を開かなくても、後で私のところにやってくる人がいました。そして話してくれた。人生に何があったのか、何に起こっているのか、本当はどうしたいのか。そこから先は監督の方法と同じです。完全なる味方になり、同意を与える。時には、同意を与えがたい内容も提示されます。その場合は、「僕は必ずしもそうは思わないけれど、あなたがそう思ったことは分かる」と理解を示す」。

152頁、「背景がまったくわからず、目の前の振る舞いだけで人を判断しようとすると、どうしても「よい/悪い」「自分の価値観に合う/合わない」といった基準が先行してしまいます。そして、その白黒判断が現状認識を狂わす。これは、外国において、その地の歴史的背景や思想的背景を知った上で人の行動を見るか、知らずにその行動を見るかの違いと同じことです。まったく知らなければ、ただ目の前の行動に翻弄されることになります」。