図書館で借りた。

選ばれる男たち―女たちの夢のゆくえ (講談社現代新書)

選ばれる男たち―女たちの夢のゆくえ (講談社現代新書)

120頁、「ところが2004年から私はDV加害者プログラムにかかわることになった。そのいきさつについては本書で述べることは避けるが、この数年間の経験は私に大きな発見をもたらした。それは「彼らは彼らなりの説明する根拠をもっている」ということだった(中略)正しいと思う自らの戒律を、もっともよく知っているはずの妻が破ったことによって彼らは深い被害者意識を抱いている」。

143頁、「多くのDV被害を受けた女性たちの話を聞くと、夫像に共通していることがある。一歩家庭から外に出ると、穏やかで腰が低いのだ。近所の人にも愛想よく、職場では上司に従順な態度をとり、友人に対しても細やかな気遣いを見せたりするのだ」。

186頁、「男性の育児休業取得の割合が低いという事実が明らかにしているように、従来の価値観(性別役割分業、男尊女卑など)に基づくコードは厳然と生きている。親戚づきあい、保育園の送迎などのさまざまな場面で、コードに抵触する男性は必ず「男のくせに情けない」と評価されるだろう。女性のほうも、「ひどい妻」として酷評されるかもしれない。このように、結婚という制度に参入することは、日本に脈々として流れ続ける家族の常識に巻き込まれるということを意味する」。

188頁、「結婚は表向き男女の愛情によって成立するものであるが、裏面では男性に対して多くの権力を付与する制度である。このことに、男性自身がどれほど自覚的であるかが分かれ目になるだろう(中略)仕事の安全基地としての家庭が確保され、妊娠出産にまつわる身体的負担をせずとも親となれる(中略)そして何より「世間の常識」が、夫である自分を甘やかしてくれる」。