ヤフオクで買った本。増田美智子『福田君を殺して何になる』(アマゾンでは買えなくて、ビーケーワンでは買える)。

73頁、「福田君の父親は、想像していたよりもずっと福田君と距離を置いていた。私がモッ君に頼んで写真を見せてもらったことは、確かにアンフェアだったかもしれない。けれど、我が子に報道関係者の相手をさせて居留守を使う父親が、どの口で「子どもを利用して」などど私を批判するのか」。

140頁、「福田君が女性に甘えようとする行為を、弁護団では「抱きつき行為」と呼んで、警戒している。マスコミ関係者の間では、福田君が女性と接したがることはすでに有名で、報道が過熱していた差し戻し控訴審の審理中など、あえて女性記者を選んで福田君に接触させていたという」。

148頁、「福田君は満足な恋愛経験もなく、事件を起こした。それから10年間、女性と接触することがないまま、拘置所で暮らしている。福田君には、女性観と現実の女性との乖離を修正する機会がないのかもしれない。だから、「弥生さんに甘えたくて抱きついた」という供述も、あながちウソとは思えない」。

223頁、「(本村さんの意見の部分)手紙にも書いてくださったように、彼を死刑にすることで、この国がいい方向になるかどうかはわからないけれども、本当の問題は、死刑をしたくないんだったら、どうしたら犯罪が減らせるかっていうことを、言論に携わる方たちが、一生懸命掘り下げてやらないといけないんです。それなのに、たぶんこの論調だと、死刑がいいか悪いかとか、そういう、もう起こってしまったことの事後処理のしかたを議論しているだけで、僕は本当にそれが不毛だと思っているんです」。

6章に弁護団に関する記事。これを読む前と後とで、出版差止の仮処分申請への受け止め方ががらっと変わる感じ。