54−55頁、「私たちは誰でも、日常生活や仕事のいろいろな局面で、自分に都合のよい尺度でだけ、物事を観てしまいがちです。(中略)ギリシャ神話に「プロクルステスの寝台」という話があります。ギリシャの、エーゲ海を望むアッティカ半島に、プロクルステスという名前の追剥泥棒が住んでいました。彼は街道の物陰にひそんで旅人を襲い、衣類や持ち物などを奪うのですが、それだけでは終わりません。彼は旅人を自分の隠れ家に連れ込むと、彼の寝台に寝かせます。そして、次のような荒わざを始めるのです。旅人の身長が寝台よりも長ければ、長い分だけを足を切り落とし、短ければ網で無理やり引っ張って、寝台の長さまで延ばしてしまうのです。このような行為から、「プロクルステスの寝台」といえば、ある規準や約束をこちらの勝手な事情で決めてしまって、無理やりそれに相手を従わせることを意味するようになりました」。